進化する災害対策業務
情報共有とコミュニケーションのオンライン拠点の実現

東日本電信電話株式会社 災害対策室

拠点間の情報連携の強化/リモートワークの効率化

導入前の課題
  • 通信回線の障害対応策として、オンラインの情報連携基盤を作りたい
  • 各現場の活動を俯瞰しながら議論・意思決定できる仕組みが必要
  • オンラインだと、現場の緊張感や熱量が共有しにくい
選んだ理由
  • どの班にどのくらいの人数が集まっているか一目でわかる
  • 複数の情報を同時に画面共有で並べられる
  • マイクをオンにしたら、その場ですぐに会話を始められる
成果・効果
  • 他の班の動きも把握できるようになって一体感が醸成
  • 国際的な大規模スポーツイベントでの障害対応に大きく貢献
  • 地震発生時の対応をリモートのみで完結

巨大台風の襲来、長時間にわたる大雨や大雪、さらに大規模な地震や火山噴火……。こうした自然災害に加え、設備やシステムの故障によっても、広範囲にわたって通信障害が起こる可能性はあります。広範な通信サービスを東日本エリアで提供している東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)では、大規模な通信障害が発生した際の全社的な活動の司令塔として、本社に災害対策室を置いています。

NTT東日本災害対策室では、2021年に東京で開催された国際的なスポーツイベント向けに同社が提供した通信回線の障害対応策として、長年構想していたオンラインによる情報連携基盤の構築にチャレンジ。障害発生時の対応に関わる多くの実務担当者がアクセスするシステムとして採用されたのが、「NeWork」です。利用者全員をつないで、活発な意見交換や刻々と変化する状況の共有を促し、オンラインでは実感しにくいチームとしての一体感や熱量まで伝え合える“場”を生み出せるというコミュニケーションツールとしてのユニークさが評価されてのことでした。

イベント終了後、このシステムは災害対策室本来の活動である災害対応業務のために、機能などを一層充実させながら活躍し続けています。システムの構想づくりや構築に携わってきた災害対策室のメンバーに、「NeWork」採用のねらいや実際の運用などを伺いました。

東日本電信電話株式会社について

東日本エリアの電気通信サービスの提供を担う東日本電信電話株式会社。安定した通信インフラの提供はもちろん、光回線をはじめとしたICT(情報通信技術)を活用したサービスの展開、さらには非通信分野事業へも事業領域を拡大している。

導入前の課題 通信環境や使い方は変わっていくのに
災害復旧の在り方は昔のまま

自然災害や設備トラブルなどによって県域をまたぐような大規模な通信障害が発生した場合、災害対策室がすぐにNTT東日本の本社内で立ち上がります。その本部をリードするのは、災害対策室の情報統括班です。

同班からの要請を合図に、電柱やケーブルなどの屋外設備を担当する所外設備班、メディア対応などを行う広報班といった13におよぶ各班から、災害の状況や規模、障害の内容などに応じて本部要員が結集します。その人数は最大で150名程度。これと並行して、現場での指揮統制を担う県域の災害対策室も設置され、本社の災害対策室と連携しながら通信サービスの障害に一つずつ対応していきます。

しかし、これまで長い間、法律の定めもあって、対応の最優先はアナログの電話回線でした。東日本大震災で発生した深刻な通信障害の対応に携わった、災害対策室長で情報統括班の班長でもある笹倉聡さんは、時代遅れになった災害対応の在り方を根本から見直すべきだと長年強く思ってきたと言います。

「アナログ電話とインターネット回線とでは、その復旧によるインパクトがまるで違います。最近では、医療関係者同士の情報交換にスマートフォン、アプリ、SNSなどが積極的に活用されたりもしています。だからこそ、どの通信を、どのエリアで、どのような優先順位で復旧していくか。これを被災地のニーズに合わせて的確に決定し、素早く復旧につなげることができたら、被災地の復興も迅速に進むはず。それには、対応にあたる我々や県域の災害対策室はもちろん、被災自治体や地元の消防、医療機関、電力や道路なども一緒に活動できるようなオンラインの基盤環境を作らないと、という考えに至りました」

同室担当課長の寒河江幸成さんも、2019年9月に襲来した台風15号がもたらした強風により千葉県内で発生した障害への対応経験から、同様の思いを抱いていました。

「対応完了後ですが、復旧させていく回線の優先順位、規模、エリア、スピード感などについて、改めて課題を突き付けられたことを実感しました。地元で被災された皆さんや対応にあたった皆さんの本当のニーズが何なのか、きちんと把握できなかったということです。そのため復旧までに時間がかかったし、的外れなところを一所懸命直していたかもしれません。大きな反省でした」

運用訓練で会社幹部の口から出た
Web会議ツールでは活動全体が見渡せない

笹倉さんたちが描いていた構想を形にするきっかけは意外なところからやってきます。2020年に東京で開催予定だった国際的なスポーツイベントです。NTT東日本が提供する通信回線の障害対策にあたる専任チームとして笹倉さんたちが指名されたのです。プロジェクト開始当初は、担当スタッフ全員が一つの部屋に集まり、情報も共有しながら障害対応にあたるという、これまで馴染んできた運営体制を想定。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中、イベントの開催は1年延期されます。

「この猶予期間を使って、チームとして何か斬新なチャレンジをしたいと考えました。例えば、災害対策室の今後の運営や社外の協力機関との関係性などを根本から変えてしまえるような、リモートワークも前提にしたオンラインによる情報連携基盤。そのプロトタイプを構築し、このイベント用通信回線を使って効果検証までやることにしたのです」(笹倉さん)

東日本電信電話株式会社
ネットワーク事業推進本部サービス運営部
災害対策室長 笹倉 聡さん

情報連携基盤の構築にあたり、まず意識したのは、基盤上に集積する情報量とそれをどう一元的に集約するかということでした。

「活動を効果的に進めるには、報告ではなく、議論や意思決定が重要です。オンラインでこれをやろうとすると、ベースとなる情報は整理された単一のものではなく、複数の現場情報が必要です。参加者全員が同時に参照できる環境も用意しておかなくてはなりません」(寒河江さん)

東日本電信電話株式会社
ネットワーク事業推進本部サービス運営部
災害対策室 担当課長 寒河江 幸成さん

チームでは用意すべき情報の選定と入手交渉に並行して、約7,000におよぶ通信回線一つひとつの状態を把握する監視システムを整備。さらに、情報一元化のための特別なハードウェアなども導入を進めました。保守要員の配備状況がわかるマップ画面、対策本部の各班が集約している社内情報、気象予報会社が公開している気象情報ページのような社外機関が提供する情報も収集・管理できる仕組みを作り上げました。メンバー相互の意見交換はWeb会議ツールで行うという構成で、念願の情報連携基盤がイベント開幕の1カ月ほど前に最初の姿を現します。

「間もなくシステムを活用した情報連携訓練がスタートしたのですが、訓練を視察に来ていた社内の幹部から非常に厳しいコメントを頂きました。『いま何をやっているんだっけ? これでは全体像がわからない』。システムの仕上がり具合にはそれなりに自信を持っていたので、非常に慌てました。修正するにはギリギリのタイミングでしたから…」

システム構築の実務を担当した同室、佐藤俊平さんは当時の様子を振り返ります。

選んだ理由 ほかのコミュニケーションツールにはない
NeWorkだけのUIが刺さった

現実の世界なら、活動全体がどのくらい進んでいるか、各班の状況はどうなのかは本部にいることで随時把握できます。しかし、オンライン環境はこうした動きを俯瞰して把握する仕組みが欠けていました。また、人が集まれば自然に実感できる現場の緊張感や一体感、何としても通信を繋げようという熱量などのモチベーションを共有しにくい点も、オンラインの課題としてあがりました。

「課題解決に向けいくつかのWeb会議ツールを試していた時、災害対策室の同僚がたまたま話題にしたのがNeWorkでした。実際に触ってみると、ほかのWeb会議ツールとはまったく違う斬新なユーザーインターフェイス(UI)だとすぐにわかりました。“ルームバブル”の丸い輪を対策本部の各班に見立てれば、どの班にどのくらいの人数が集まっているか一目瞭然です。集まっている人が多いなら、そこでは何かしらのリスクに対して対応が鋭意進められていると想像でき、熱量なども視覚的に伝わってきます。必要なら“聞き耳”で話を聞くこともできる。複数の要素を画面にパッと並べることができ、マイクをオンにしたら会話もすぐ始められる。まさに私たちが探しているものだと確信しました」(佐藤さん)

東日本電信電話株式会社
ネットワーク事業推進本部サービス運営部
災害対策室 佐藤 俊平さん

早速NeWorkの導入が決まり、リモートで対応に関わる担当者間の情報の共有が容易になり、ほかの班の動きが見えるため作業全体の把握が可能となることで一体感の醸成も進むなど、業務を支えるコミュニケーションツールとして活躍し始めます。そのために例えば、人ではなく、「気象予報」といった情報をユーザーとして登録。画面共有機能を使って、複数の情報を簡単な操作で共有できるようにする。複数ページにわたる資料はプレゼンテーションモードで画面共有する、といった独自のアレンジも加えました。

こうした改善を進めた結果、自分たちでも期待以上に満足のいく環境構築ができた点に加え、最終的に会社幹部からのお墨付きも獲得。国際的なイベントでの業務においても、NeWorkでパワーアップした情報連携基盤は大きく貢献しました。

成果・効果 災害の予兆があればNeWorkへ
そんな文化を根付かせたい

イベント終了後の2021年夏以降、このシステムは災害対策室の通常業務である災害対応のために本格的に運用されています。共有する情報を増やしたり、ユーザーを県域の災害対策室にも拡大したり、と継続的なパワーアップにも余念がありません。

幸いなことに、最近は本社の災害対策室が本格的に設置されるような大規模災害は発生していないため、情報連携基盤の性能をフルに発揮する機会はまだ訪れていません。しかし、大きな被害にはつながらなかったものの、2021年10月の夜に首都圏を襲った震度5強の地震の際には、そのポテンシャルの高さを実感できたと寒河江さんは言います。

「情報連携基盤が稼働していたので、地震発生直後に私もNeWorkからリモートでシステムに入り、収集した情報から更新情報を作っては画面共有で流し続けました。NeWorkの画面を見ていたら、多くの本部要員が自主的にアクセスしてくれました。障害が起きていないことをみんながここで共有できたため、対策本部も早いタイミングで解散。リモートですべて完結できたのです。障害の可能性があったらとにかく対策本部に集まっていたこれまでとはまったく違いました」

笹倉さんは災害対応の将来を見据え、旅行代理店や大手流通会社などこれまでの災害対応では連携してこなかった社外の組織との情報共有を模索すると同時に、被災地のニーズを災害対策室へつなぐ役割を果たすため各地に散らばっているNTT東日本のリエゾン担当もこのシステムに参加させたいと考えています。

「これからも情報連携基盤を進化・発展させさせていくために、NeWorkはもちろん、NeWorkの開発チームに対しても大きな期待を寄せています」

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